胃がん予防
梅の胃がん予防効果に関する特許を取得
2009/12発表
梅の中には、胃に障害を及ぼすヘリコバクターピロリ菌の運動能力を阻害または抑制する効果のある物質が含まれていることを見いだし、その物質の構造についても分析することに成功しました。この知見に基づいて、特許を取得することができました。
(特許番号:第4081678号)
ヘリコバクターピロリ菌は、全長約4ミクロンで、右巻に2~3回ねじれた形状をしています。
自ら生成するアンモニア(アルカリ性)で殺菌作用のある胃酸を中和し、胃の粘膜に住みつきます。日本人の半数以上が感染していると言われるほど非常に感染率の高い菌です。
また、複数の鞭毛を持ち、高速に動かす事で高い運動能力を示します。そのため、胃の粘膜を傷つけ、胃炎、胃潰瘍さらには胃癌に関係していることが明らかとなってきました。
このヘリコバクターピロリ菌の働きを抑えるためには、抗菌・殺菌・運動能抑制の3種類の方法が考えられます。
そこで、ヘリコバクターピロリ菌に対する梅の抑制機能を検証したところ、未熟梅の果実を加えることで、ヘリコバクターピロリ菌が丸く変形して動かなくなったり、凝集して働きを失う効果がみられました。
さらに、我々はこのようなヘリコバクターピロリ菌に対する運動能抑制効果を示す有効成分について検討を行いました。
その結果、その有効成分は抗酸化物質である梅リグナンの一種「シリンガレシノール」という機能成分であるがわかりました。
大粒の梅干1個には、約10㎍(マイクログラム)の「シリンガレシノール」が含まれます。
現在、我々はこの「シリンガレシノール」がより多く含まれる梅製品の開発に取り組んでいます。より美味しく、より体に良い梅を消費者のみなさんに提供できるよう、研究を続けています。